ゲームを作る。レトロPCの時代だと一人とか、多くても数名で事足りた規模でした。今では、どんなに簡単な内容でも、何名もの役職の担当者が複数名チカラを合わせて、ゲームソフトウェアという商品の販売のために、各自のアイディアや技術を持ち寄り、よりよいモノに仕上げていく業務を進めていきます。私が若い頃に花形だった「ゲームデザイナー」という仕事は、現代においては事実上存在していません。もっと業務が細分化されていたりします。今回はそんな、他業界の人からは分かりづらいゲーム制作現場の担当別の役割について解説してみましょう。
自社製品リリースの場合、小さい会社だとこのプロデューサーは殆どが、そのままその会社の社長となります。大きな会社の場合は、部長クラスの人間が担当する事が多いですが、まれに信頼厚い人が担当する事もあります。この「まれに」というのは、本当にまれなはずなんですが、良い意味で目立つので有名になる事が多いのです。そのため、あちこちたくさんそのような方達がいる錯覚を覚えますが、実際は本当に一部の才ある人だけがなし得る事なのです。
往々にして、基本仕様書には曖昧な部分があります。これをそのまま担当者に提示して丸投げ…するのは、ディレクターではないです。その仕様書に記載の内容を読み解き、必要と思える作業分解を行い、担当全員に事前に提示して内容の確認を行い、作業の重さを把握の上、プロデューサーが示す完成日までに作成するために必要な物的人的時間的リソース配分を行います。
リソースが足りない場合は、可能な限り早い段階でリソース不足を補う行動を起こします。それは、リソースの追加かもしれませんし、作業の効率化かもしれませんし、仕様の見直しかもしれませんし、どう解決するかはそのディレクターの資質により大きく異なる部分です。結果、同じ担当者が作業しても、その結果に差が出たりします。
担当者は、最低でも数名から大規模になると数百名という、かなりの集団でデザイン構築を行います。そのため、各担当者の個性が強く出過ぎないように調整するグラフィックデザイナーが存在します。それがチーフデザイナーと呼ばれる人です。大規模になると、描く対象毎にチーフデザイナーも細分化され、さらに彼らを統括するリードデザイナーが存在する事もあります。
リアルを追求する現場では、現実社会というお手本があるため、あまりチーフデザイナーは必要ありませんが、ファンタジー系ですと、その世界観を統一するため、優秀なデザイナー一人のイメージに統一される事が多いです。
凄い人になると、世の中で聞こえる全ての音を譜面化できるという、神の耳を持った人もいます。実際、聞いた直後に MML 書いて、コレ鳴らしてみてって言われて、鳴らしたら本当にそんな感じの音が PCから聞こえてきたなんて事もあります。
個人的な意見ですが、コンポーザーはいきなり作曲をしているワケではないように見えます。作曲という仕事する前に、長い時間を掛けて自分自身の中に蓄積した「サウンドライブラリー」を、その仕事の瞬間に一気に吐き出しているように見えます。それくらい、彼らは日常生活の中で感覚とか感性を研ぎ澄ませているのです。
プログラマーから逆提案もよくあります。その場合は作りやすさ、目新しさ、メンテナンスしやすさ等、様々な要因からディレクターやプロデューサーが判断して、組み込むかどうかを決めます。内部的な内容だとディレクターレベル、見た目にも影響する大きな部分だとプロデューサーが判断します。
プログラマーは最後にリソースを組み立てますので、プロジェクトの最後に追い込み作業となる事がままあります。また実際に組み立てようとしたときに、必要なデータが存在しないと、無用な待ち時間が発生します。そのため、予めプログラマが作業に入る直前には、必要な全てのデータが出来ているように作業を割り振るのも大切で、その仕事はディレクターが行っています。
今のデバッグは複雑化しています。マルチプラットフォーム開発は当たり前となり、また PCやスマホ等の動作環境は混迷を極め、通しチェックだけで数週間を要する事も少なくありません。その上で、例えば全てのアイテムを装備して順列組み合わせで効果確認したり、毒や麻痺などの状態異常も順列組み合わせでチェックしたりと、それこそ専門のスタッフが何十人も一気に動作確認していくのです。もはや開発会社社内で確保出来るような内容ではなくなっています。
デバッガーにも資質があったりします。それは、この部分がクサいとか、これはプログラマが想定していないんじゃないかと、プログラムの内部構造までを想像出来る人です。あるいは、ひとつのバグをきっかけに、だったらこうじゃないかと推察出来る人です。さらには、画面切り替えの一瞬を見極めて 1/60sec の刹那にボタンを押して、想定していない挙動を表面化させる人だったりします。
単にぼーっと遊んでいるだけの人には、デバッガーは務まらなくて、裏技を開発するような人がデバッグには向いていると言えます。ちょっとだけ自慢ですが、私はわりとバグを見つけるのが上手かったりします。経験則からでしょうか、なんとなく匂うんです。※
※ なんとなく匂う
デバッグに関しては、一つの記事としてまとめました。ゲーム制作のデバッグからご確認ください。
本記事内のイラストは下記から使用させて頂いてます。
かわいいフリー素材集 いらすとや
https://www.irasutoya.com/
※会社やプロダクトによって以下は兼任したり業務範囲が変わる場合があります。
- 企画/プランナー
では、現在のプランナーは何をする人かというと、このゲーム(商品)を売るためには、どういう仕掛けをすれば良いのかというアプローチを、上層部、最後は社長などの決裁者にプレゼンして話を通すプレゼンターになっています。
プランナーが出した企画に賛同したお偉いさんが、後述のプロデューサーになる事が殆どです。つまりはプランナーは自らの提案を同じ会社内の上司に認めてもらってラインとして確立するのが最優先のお仕事となります。企画が通った後は、だいたい基本仕様書を作成しますデス。
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総責任者/プロデューサー
自社製品リリースの場合、小さい会社だとこのプロデューサーは殆どが、そのままその会社の社長となります。大きな会社の場合は、部長クラスの人間が担当する事が多いですが、まれに信頼厚い人が担当する事もあります。この「まれに」というのは、本当にまれなはずなんですが、良い意味で目立つので有名になる事が多いのです。そのため、あちこちたくさんそのような方達がいる錯覚を覚えますが、実際は本当に一部の才ある人だけがなし得る事なのです。
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制作監督/ディレクター
往々にして、基本仕様書には曖昧な部分があります。これをそのまま担当者に提示して丸投げ…するのは、ディレクターではないです。その仕様書に記載の内容を読み解き、必要と思える作業分解を行い、担当全員に事前に提示して内容の確認を行い、作業の重さを把握の上、プロデューサーが示す完成日までに作成するために必要な物的人的時間的リソース配分を行います。
リソースが足りない場合は、可能な限り早い段階でリソース不足を補う行動を起こします。それは、リソースの追加かもしれませんし、作業の効率化かもしれませんし、仕様の見直しかもしれませんし、どう解決するかはそのディレクターの資質により大きく異なる部分です。結果、同じ担当者が作業しても、その結果に差が出たりします。
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作画/グラフィックデザイナー
担当者は、最低でも数名から大規模になると数百名という、かなりの集団でデザイン構築を行います。そのため、各担当者の個性が強く出過ぎないように調整するグラフィックデザイナーが存在します。それがチーフデザイナーと呼ばれる人です。大規模になると、描く対象毎にチーフデザイナーも細分化され、さらに彼らを統括するリードデザイナーが存在する事もあります。
リアルを追求する現場では、現実社会というお手本があるため、あまりチーフデザイナーは必要ありませんが、ファンタジー系ですと、その世界観を統一するため、優秀なデザイナー一人のイメージに統一される事が多いです。
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作曲/サウンドコンポーザー
凄い人になると、世の中で聞こえる全ての音を譜面化できるという、神の耳を持った人もいます。実際、聞いた直後に MML 書いて、コレ鳴らしてみてって言われて、鳴らしたら本当にそんな感じの音が PCから聞こえてきたなんて事もあります。
個人的な意見ですが、コンポーザーはいきなり作曲をしているワケではないように見えます。作曲という仕事する前に、長い時間を掛けて自分自身の中に蓄積した「サウンドライブラリー」を、その仕事の瞬間に一気に吐き出しているように見えます。それくらい、彼らは日常生活の中で感覚とか感性を研ぎ澄ませているのです。
Steinberg(スタインバーグ)
2016-12-09
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組み立て/プログラマー
プログラマーから逆提案もよくあります。その場合は作りやすさ、目新しさ、メンテナンスしやすさ等、様々な要因からディレクターやプロデューサーが判断して、組み込むかどうかを決めます。内部的な内容だとディレクターレベル、見た目にも影響する大きな部分だとプロデューサーが判断します。
プログラマーは最後にリソースを組み立てますので、プロジェクトの最後に追い込み作業となる事がままあります。また実際に組み立てようとしたときに、必要なデータが存在しないと、無用な待ち時間が発生します。そのため、予めプログラマが作業に入る直前には、必要な全てのデータが出来ているように作業を割り振るのも大切で、その仕事はディレクターが行っています。
マイクロソフト
2020-05-12
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品質管理/デバッガー
今のデバッグは複雑化しています。マルチプラットフォーム開発は当たり前となり、また PCやスマホ等の動作環境は混迷を極め、通しチェックだけで数週間を要する事も少なくありません。その上で、例えば全てのアイテムを装備して順列組み合わせで効果確認したり、毒や麻痺などの状態異常も順列組み合わせでチェックしたりと、それこそ専門のスタッフが何十人も一気に動作確認していくのです。もはや開発会社社内で確保出来るような内容ではなくなっています。
デバッガーにも資質があったりします。それは、この部分がクサいとか、これはプログラマが想定していないんじゃないかと、プログラムの内部構造までを想像出来る人です。あるいは、ひとつのバグをきっかけに、だったらこうじゃないかと推察出来る人です。さらには、画面切り替えの一瞬を見極めて 1/60sec の刹那にボタンを押して、想定していない挙動を表面化させる人だったりします。
単にぼーっと遊んでいるだけの人には、デバッガーは務まらなくて、裏技を開発するような人がデバッグには向いていると言えます。ちょっとだけ自慢ですが、私はわりとバグを見つけるのが上手かったりします。経験則からでしょうか、なんとなく匂うんです。※
以上、どうでしたでしょうか。当然だ、知ってるぜという人もいれば、今はこんなんになっていたのかーと思った人もいたかと思います。昔の職種であるゲームデザイナーは、プランナーとディレクターとプログラマーを全て一人でこなす人を指します。今だとなかなか難しいのは、ここまで読むと分かりますよね。
※ なんとなく匂う
デバッグに関しては、一つの記事としてまとめました。ゲーム制作のデバッグからご確認ください。
本記事内のイラストは下記から使用させて頂いてます。
https://www.irasutoya.com/
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