モンスター、要は怪物です。私が初めてモンスターという敵性生物という存在を知ったのは、おそらく BPS 社から発売されたブラックオニキスという RPG です。それまで、RPG というゲームジャンルすら触れたことのない私にとっては、衝撃のゲーム内容でした。3D 迷路の中を進む。それだけでもなぜかワクワクしたのですが、そこに突然出現する未知の怪物たち。今でこそゴブリンとか有名で、名前を聞いただけでもああアイツかーと想像できるほどメジャーですが、当時はゴブリン?なにそれという状態でした。PC-8801 のグラフィックで描かれたそいつは、なんていうか…
ゴブリン
今見るととっても貧弱なグラフィックですね。ですが、それが…、それが良いんです。こんな画像でも、恐怖を感じました。ゲームの世界にどっぷりと使ってたんでしょうね。そして、こいつらが数の暴力で押し寄せてくるんです。とはいっても10数匹ではあるんですが、かなり怖いと思いました。この感情の揺さぶりが面白さだったんでしょう。名前を知らない、見たこともない怪物が、集団で立ちはだかり襲いかかってくる。それをパーティメンバーが助け合いながら撃破していく。ドキドキワクワクとしたものです。

※ 私は1984年当時、この本を見ながら怪物のドットを打ちました。表紙は間違いなくこれと同じですが、だいぶリニューアルされていますね。当時のイラストを見るのは如何でしょうか?
この西洋風の怪物が少し日本風にデザインされ直したのが、ドルアーガの塔です。べちゃーっとして掴みどころのないスライムという怪物を、ぷるんぷるんのゼリー状に固めた、おそらくは世界初のゲームです。しかも本来はめっちゃ強いはずのスライムを、日本においては最弱のモンスターに仕立て上げた功績のゲームでもあります。あと、ベチャーとしているのはジェリーで、スライムは寒天みたいな真四角な形状という話もあります。
スライム
私が作成したゲームの怪物は、この2つのゲームに多大な影響を受けています。スライムがどういう怪物かを知らず、ドルアーガの塔だけで知見を得ていたため、私がデザインしたスライムはゼリーからゼリービーンズに進化させてしまいました 😓さらにその後発売された超有名なドラゴンクエストでは、ぷるんぷるんにトンガリ頭、目と口までついちゃってもはやアイドルに。最初にバブルスライムのようなデザインにせず、可愛く仕立て上げたのはさすがの鳥山先生といったところでしょうか。
DQスライム
このあたりから怪物は恐怖の対象ではなく、狩る対象へと変化していった気がします。それでも初めて出会う怪物には恐怖を感じてはいたのですが、それもそのうち経験値稼ぎの対象に変わっていきました。そして、それは少なくとも私にとっては、RPG に魅力を感じなくなっていった要因の一つでもあったりします。恐怖を与えない怪物はもはやペットですよねぇ…。

BlackOnyx
The BLACK ONYX
©1984 Bullet-Proof Software, Inc.

ドルアーガの塔
ドルアーガの塔
©1984 NAMCO LIMITED / Bandai Namco Holdings Inc.

ドラゴンクエスト
ドラゴンクエスト
©1986 ENIX Corporation / SQUARE ENIX CO., LTD.

ドラゴンクエストIII そして伝説へ…|オンラインコード版
スクウェア・エニックス
2021-05-24