昔のPCはデータの保存や読み込みの媒体に、カセットテープを使用していました。ピーガーという疑似音で有名なアレです。今回はこのカセットにデータを書き込んだり読み込んだりする環境を揃えてみる記事となります。


  • ハードウェア
最初に用意するのはデータレコーダーです。波形に余分な補正をしない、あるいは正弦波を強調するデータ専用のモノが良いです。私の試した範囲では、激安のコンパクトカセットレコーダーでは、正しくデータのやり取りが出来ませんでした。
USBオーディオに接続
今はもうカセットデッキは手に入りにくいと思います。オススメはヤフオク等でメンテナンス品を手に入れることでしょうか。以前はたんぼ(TNB製作所)さんが時々出展されていたのですが、最近は見なくなりました。少し残念です。

今だとヤフオク名ではmittermeyer2002さんでしょうか。人気なのであっという間に捌けてしまいますが、それもそのはずモノは確かな上にサポートも個人とは思えないほどに強力です(もしかしたら会社にしているかも)。出展の動向はTwitterアカウントであるしろやぎさんを見ていると分かりやすいので、フォロー推奨ですね。

あと、確実なのは電脳遊幻組2号店さんから購入することでしょうか。本当にたまに出展されていますが、ここのメンテナンス品であれば確実かと思います。

データレコーダーをなんとか手に入れたら、次はPCとの接続です。内藤的には使い勝手や利便性を鑑みて、USBオーディオ経由での接続をオススメします。好きなタイミングでスポスポまとめて差し替えられるので便利です。私が使っているUSBオーディオは絶版になっているようなので、今ならこれを買うかなーっていう代替品をご紹介。
※ たぶん問題なく使えるとは思いますが自己責任でお願いします。
USBオーディオの再生(ヘッドホン)端子とデータレコーダーの録音端子、USBオーディオの録音(マイク)端子とデータレコーダーの再生端子を、ミニプラグケーブルで接続します。

なお、データレコーダー側は入出力がモノラルですが、USBオーディオの出力はステレオです。このままですと、録音に偏りが生じる可能性があります。最低でもUSBオーディオの再生のステレオと、データレコーダー側の録音を結ぶケーブルは、ステレオ・モノラル変換タイプを使いたいところです。そのためこんなケーブルを購入しました。
※ ケーブルだけでモノラルステレオ変換する優れものです。現在私はこのケーブルを使っています。PCのマイク端子側は元々モノラルなので、モノラルミニプラグで良いとは思いますが、私は将来用に録音再生どちらもこのケーブルを使いました。

USBオーディオを接続したら、サウンドデバイスが追加されます。分かりやすいように名前を変えました。マイクに繋がっているのがデータレコーダーの再生、スピーカーに繋がっているのがデータレコーダーへの録音です。
再生
録音
これでデータレコーダと音声をやり取りする環境が整いました。


  • 市販ソフトを読み込む
さて、折角 PC にデータレコーダーを繋いだのですから、市販ソフトを読み込んでみたいと思います。今回は富士音響マイコンセンター製のジック・ザッグⅠです。録音はAudacityを使います。


ただ、私は最新版は少し「気持ち悪い」ので、バージョンは 3.0.0 でアップデートを止めていたりします。録音できれば良いので、Windows標準のサウンドレコーダーでも良いかもしれません。
市販ソフトを読んでみる
データレコーダーにカセットを入れて再生ボタンを押します。ピーガー音が聞こえてくるのを確認後、録音ソフトで音声保存します。
Audacity
Audacityの場合は、wav形式で保存する際は、Unsigned 8bit PCM形式が良いと思います。
wav出力は8bit PCM形式
この音声データをエミュレータで読み込める cmt 形式に変換するには、オススメは DumpListEditor(略してDLE)です。最近はもはや統合レトロゲーム編集ソフトと化していて、困ったら DLE 使えばなんとかなるみたいな優秀なソフトです。


ファイル読み込みから、cmt(t88,wav)ファイル読み込み&ファイル抽出を選択して、さきほど保存した wav ファイルを読み込みます。
読み込んだ
すると自動的にファイルの解析を行い、内部では t88 形式に変換して保持しているようです。内藤的には cmt 形式が好きなので、保存時に cmt を選択してファイルを保存します。これで cmt の作成は終わりです。試しにエミュレータに読み込ませてみると、あっさりと動作します。
動いた
 ジック・ザッグⅠ © 1982 富士音響マイコンセンター


  • cmt を音声データとしてカセットに録音する
cmt から wav に変換するには pcm8001 を使っています。


使い方も簡単で起動後 cmt ファイルを D&D して、その後、File -> Save As... から wav ファイルを保存するだけです。
wavデータを保存する
これだけで変換ができましたが、確実を期すのであれば、さらに波形編集して矩形波をくっきりさせたり、音量を上げておくなどの加工も良いかと思います。


cmt から wav に変換するソフトは他にも探すといろいろ見つかります。先に紹介した DumpListEditor でも簡単に変換できます。cmt を D&D すると自動的に解析します。その後、機種名を選択して wav書出しボタンを押すだけという簡単さです。私もそのうちこちらに乗り換えると思います。
DLEでwavを書き出す
こうして出来たwavファイルを再生するとピーガー音が鳴りますので、それをそのままデータレコーダーで録音すれば完成です。作ったピーガー音はこんな感じで鳴ります。

※ カセットテープはロード速度が速い場合は20分が良いと思います。片面10分です。必要な分数は保存するデータの容量とbaudレートで変わります。
※ カセットテープはロード速度が遅い場合は30分が良いと思います。目安は 600baud で 32KB が凡そ 10分です。