
我が家はヘーベルハウスです。高断熱素材ヘーベル板で外殻が構成されて温かい…はずの一軒家でした。実際には、いろいろ若かりし頃の過ち設計により、断熱に関してはとても問題が多い作りになっていました。数年前にリビングが寒い元凶である、吹き抜けをリフォームで潰し、風呂は断熱構造のユニットバスに改装しました。その時、浴室にはプラマードUという断熱内窓を採用しています。これがめっちゃ温かい。それで気が付きました。うちは、折角の暖かい空気が、全て窓から外に逃げているのだと。
そこで、今回は手始めに最も簡単な玄関窓と2Fトイレの窓を、はめ殺しのFIX内窓を自作して取り付けることにしてみました。この記事は、その断熱内窓の考え方から設計施工をとりまとめた記録となります。もし、部屋が寒いとお悩みでしたら、その対策の参考になれば幸いです。部材のまとめはこちらを参照してください。
- 制作の前提
断熱のため、内窓のフレームは4mm溝付きの24×24角材を使用しました。また、採光面には、中空ポリカーボネート板(以後、中空ポリカ板と略す)を使用することにします。これは、空気層を含むため、なかなか断熱性能に優れているものです。
また、設置してしまえば、裏側は特に家の中からは見えることはないため、裏側のフレームに、中空ポリカ板を切り出して両面テープで貼っつけることにします。これで、より多くの空気層が出来るので、より高断熱が期待できるわけです。
内窓の固定にはパッキンを使用します。内窓の周囲にパッキンを張り巡らせて、既存の窓枠にググッと押し込むことで固定します。押し込んで固定という構造上、取り出しが大変になるため、簡単なハンドルも付けたいと思います。
- 窓を採寸する

最初にする事は、取り付ける場所の窓の確認と採寸です。内窓を付けるには、最低でも 30mm 程度は奥まっている必要があります。この奥まっているとは、窓の鍵(クレセント)の出っ張り部分も考慮する必要があります。例えば、窓そのものは 50mm奥まっていたとしても、クレセントのハンドルが手前に30mm出っ張っていたら、実質的には奥行きは 20mmしか無いことになります。この場合は、ふかし加工が必要となりますので、私の自作の説明範疇からハズレてしまいます。
採寸は、幅と高さをミリ単位で測ります。5mぐらいのストッパー付きメジャーがあると便利です。幅は窓枠の一番上と一番下と中間地点を測ります。高さは左端と右端と中間地点を測ります。その測定結果から一番短い距離を、幅と高さとして採用します。もし、最小値と最大値が 3mm以上違っていた場合は、窓枠が歪んでいる可能性があります。この場合は、隙間なく取り付けることが出来ない可能性があることは、事前に承知しておいてください。私の作り方だと 5mm の誤差まではイケる気はするのですが、保証は出来ないです。DIY は全て自己責任の世界なので、そちらはご了承ください。
以下、窓枠の幅と高さを WW, WH として説明します。
※ これは我が家の窓枠サイズです。皆様が制作する際は必ずご自身で対象の窓枠サイズを測るようにしてください。
窓枠サイズ 幅: WW = 410 高: WH = 1075
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- 内窓を設計する
内窓はパッキンのサイズ分、小さく作る必要があります。使用する隙間テープの厚みは 10mm です。そのため、左右は 20mm の厚みがパッキンとなりますが、密閉するために少しばかり内窓はそれより大きく作ります。私は 20mm から圧縮 6mm の 14mm としました。なお、これは荷重のかからない左右の話であり、荷重がかかる上下の隙間はもう少し小さくなると考えます。そのため、上下に関しては 12mm で計算しました。
内窓サイズ 幅: IW = WW - 14 高: IH = WH - 12
うちの場合は、WW = 410, WH = 1075 でしたので、IW = 396, IH = 1063 となりました。ここから角材の切り出しサイズに分解します。重量がかかるので、側面のフレームに関しては、そのままの長さが好ましいと考えました。そのため、上下の長さを角材の大きさ分縮める必要があります。角材のサイズは 24mm ですので、内窓の幅 IW から 48 を引いた長さが、上下の角材のサイズとなります。
角材の長さ 上下: HL = IW - 48 側面: VL = IH
うちの場合は、HL = 348, VL = 1063 ですね。鋸で切断すると、残った角材は数ミリ短くなるので、それは考慮が必要です。次に開口部のサイズです。これは内窓サイズから、単純に角材のサイズである 24 を上下左右から引けば求まります。
開口部のサイズ 幅: OW = IW - (24×2) 高: OH = IH - (24×2)
うちの場合は、それぞれ OW = 396 - (24×2) = 348, OH = 1063 - (24×2) = 1015 となりました。最後に中空ポリカ板の切り出しサイズです。溝の深さは 10mm でしたので、開口部のサイズに、上下左右それぞれ 10mm を加算すれば良いことになります。
真中空ポリカ板サイズ 幅: PW = OW + (10×2) 高: PH = OH + (10×2)
うちの場合は、PW = 368, PH = 1035 ですね。なお、中空ポリカ板は2枚必要です。それは裏側にも貼るためです。この裏側に貼る中空ポリカ板サイズは、内窓サイズ -1mm とします。同一サイズでも良かったのですが、誤差で中空ポリカ板のほうが大きくなると、パッキン効率が落ちる危険があるのでわずかに小さくします。小さくしすぎるとハンドル取り付けに支障が出るので注意します。
裏中空ポリカ板サイズ 幅: RW = IW - 2 高: RH = IH - 2
うちの場合は、RW = 394, RH = 1061 です。このように、最初の設計と計算がとても大切ですので、間違いのないように何度も再計算して、かつ、切り出し途中でも、窓枠に仮置きして、サイズが想定通りか確認するようにします。

我が家の玄関内窓のサイズについて簡単に説明します。黄枠の部分が既存の窓枠サイズ WW,WH です。その内側の緑色が内窓サイズ IW, IH となります。左右に 7mmずつ、上下に 6mmがつの隙間があります(パッキンで埋まる部分)。
赤色が角材フレームの上下部分です。この長さが HL です。緑色が角材フレームの長さ VL です。開口部サイズ OW, OH は一番内側の水色の範囲となります。
- 素材の切り出し
まず、角材を先に計算した HL と VL の長さで切り出します。それぞれ2本ずつの4本が必要です。

鋸で切り出す際に、最後自重でパキッと端が割れてしまいました。

これを防ぐには、なるべく角材全体が平らな場所で鋸を使うか、切断面の左右に養生テープで保護するのが良かったです。まあ、後悔先に立たず。最終的にはパッキンで見えなくなる部分なので無視しています。

続いて、中空ポリカ板の切り出しです。コンベックスで切り出しサイズ位置を、ボールペンで小さく印をつけて、1m の定規で正確に全く切り出すようにしました。まずは PW のサイズで切りました。その次に RW のサイズで切っています。
ダイニチ(Dainichi)
2023-08-23
- 内窓の組み立て
最初に切り出した中空ポリカ板の断面部にセロテープを貼ります。中空ポリカ板の表面には保護シートがありますので、それをめくってから、中空ポリカ板に直接セロテープを貼るように注意します。

この作業は、中空部の空気層に流れを作らないようにするための措置です。空気の流れができてしまうと、一気に断熱性能が落ちてしまうため、確実に中空部の開口部をセロテープで防ぎます。…写真だとセロテープがわっかりにくいですね^^;
次に中空ポリカ板をフレームにはめ込んで仮組みします。この時、角合わせは確実に行ってください。サイズ的に問題があれば、この段階で調整します。問題なければ、木材の接着面に木工ボンドを塗ります。ズレないように、養生テープで抑え込むと完璧です。
木ネジで固定します。木ネジはいきなりだと角材が割れますので、3mm で下穴を通した後は、5mm のダボ穴ドリルで浅く皿頭分を掘っておきます。下穴を開けるドリルビットは竹用ドリルが無難だと思います。


木ネジは強く締め込む必要はないので、最後は手回しドライバーでゆっくりねじ込んでください。なお、木ねじは実際には、おそらく木材ではなく中空ポリカ板に刺さっていると思います。そのため、強度的には弱いはずです。強く締めると壊れてしうと思います。お気をつけください。

最後は裏中空ポリカ板の貼り付けです。これには両面テープを使います。

フレームに隙間なくグルッと一周分、両面テープを貼り付けます。そして、その上から裏中空ポリカ板を貼り付けます。強く抑えすぎると中空ポリカ板が潰れる可能性があるのでご注意ください。これで形状的には内窓は完成しました。
- 配置用部品の取り付け
はめ込んだ後の取り出し用にハンドルを取り付けます。ハンドルの取り付けは M4ネジを使うので、通しとして 5mm で穴を開けます。ここも竹用ドリルが有用です。通常のドリルビットだと、中空ポリカ板が汚くなってしまうためです。あと、ドリルは低回転で使うようにしてください。高回転で穴あけすると、中空ポリカ板が摩擦熱で溶けて固着してしまいます。

穴の位置は下端から 150 mmとしました。ハンドルのネジピッチが 115mm でしたので、もうひとつの通し穴位置は 下端から 265mm となります。この位置は、150mm で穴を開けた後で、ハンドルを置いて直接位置合わせして、上穴の位置を決めるのが確実かと思います。
穴が空いたら続いてハンドルを取り付けます。フレーム 24mm + 中空ポリカ板の厚みが 4mm の合計 28mm の厚みがあります。ハンドルのネジ埋込深さが 8mm でしたので、トータル 36mm。ネジの高さが 40mm なので 4mm ほど不足していますが、それは木用の幅広ワッシャーとスプリングワッシャーで、高さを合わせるようにします。

フレームのネジ止め直後にやっておけばよかったのですが、忘れていた露出している溝穴のパテ埋めを行います。
- パッキン装着と設置
実際の設置に入ります。内窓のサイズは左右に 14mm、上下に 12mm 空いています。この隙間をパッキンで埋めていきます。まず、窓の下側には Dパッキンを取り付けます。

このパッキンは下側だけに付けてます。厚みがそんなにないので、上にも付けてしまうと隙間があく恐れがあるためです。続いて左右と上側に隙間テープを貼ります。使用する隙間テープは、幅が 15mm、厚みが 10mm のヤツです。触った感触でなるべく柔らかいのが良いと思いました。

隙間テープを貼ったら仮配置してみます。実は、最初の内窓は隙間を 14mm ではなく 7mm で計算してしまったため、右側にしか隙間テープが入りませんでした。同様に上下は下にしかパッキンが入っていません。


この失敗からの試行錯誤で -14mm と -12mm は導き出されています^^; 配置で問題なければ(あってもまあもう直せない段階ではありますが…)中空ポリカ板表面の保護シールを剥がして、本設置とします。そして、設置後の上下左右の隙間に押し込むようにして、裂いたDパッキンをねじ込んで壁に接着します。

これで全ての作業は完了です。慣れなかったので半日ほどかかってしまいましたが、慣れれば小一時間で出来てしまうと思います。


見た目もそんなに悪くないと思うのですが如何でしょうか。なお、写真右側は2回めに作成したトイレのFIX断熱窓です。こちらは余白部分のサイズを調整した後になりますので、上下左右とも適切にパッキンが入っています。写真じゃ分かりづらいですけどね^^;
あと、内窓をかなり奥まで押し込んでいますが、断熱の観点からはこれはよろしくないです。出来れば、部屋の壁ツラツラに配置すべきなのですが、ハンドルが出っ張っていて引っ掛けそうだったので、奥まで押し込んでいます。人が通らない場所の設置であれば、ツラツラにすべきですね。さて、もうちょっとだけ続くんじゃー
※これは凄い!単なるレーザー距離計にあらずで、なんとコロコロして距離を測ったり、普通のコンベックスのように紐(?)を引き出して距離を測ることも出来る。3mmの誤差を許容できるのであれば、これはかなり使えると思います。
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