
フロッピーデバイスのプロテクトは、わざと再現不能な異常を作り出して、それを検知して正常かどうかを判断する手法が主流でした。これは、正規に購入したユーザー側に不利益を与えるという意味で、私は当時はディスクにプロテクトを掛ける側でしたが、今は全く個人的には賛同できません。
ROMのプロテクトは現在は独自マッパーが主流です。この独自マッパーはバイナリコピーで即座に動作させる事が出来ないため、コピーする方法としてはパッチを当ててプロテクト判定を無効化するか、独自マッパーを再現するハードを独自に作り出してしまうかの2択ではないかと思います。この方法は殆どの場合はプロテクトチェックミスもなく、またチェック時間も殆どありませんが、手間とお金がかかるという欠点は残ります。
そして、上記全てに共通するのですが、パッチを当てればプロテクトは容易に外す事が出来るという事実です。ですが、この事実を持ってプロテクトは意味がないとは私は思いません。現代においてのプロテクトの意味は最低2つあります。一つは、鍵を掛けてるのは勝手に開けるなという意思表示である点。もう一つは、購入者に対する精神的プロテクトです。
※「数学I」は理解している前提で読む本。必要な事がストレートに書いてある。…と思います^^;鍵がかかってないから中に入りました。ってのは、10歩譲って通る話かもしれません。ですが、鍵がかかってる扉をわざわざ壊して中に入るのは、鍵を掛けた人の意志を全く尊重していない行為です。現在の著作権法的では、自分で購入したものに対して自分で好きにして、つまりは鍵を壊して中を見ても良いことになっています。この行為自体は何ら問題ありません。ここまではお客様個人の所業となります。
ですが、その鍵の明け方を公開したり、鍵を開けるツールを公開したり、ましてや鍵をあけっぱなしにして現物を公開したりした時点で、もはやお客様ではなく単なる犯罪行為とみなせます。そのための線引がプロテクトだと考えています。エミュレータで、プロテクトを動くようにして新規マッパーとして公開するのがグレーゾーンですかねぇ。自分の持ち物でエミュレータで動かせるってのは、ニーズが有るのは理解しています。ただ、やっぱり鍵を開けるツールの公開に等しく感じてはしまいます。
もう一つの意味が精神的プロテクトです。今回、私が販売する XeGrader for MSX2 は、面倒な事に ROMカートリッジひとつひとつに異なるシリアル番号を付与してあります。これの書き換えはかなり難しいはずのつもりにしてあります。少なくともシリアル番号でバイナリ検索しても引っかかりません。そして、このシリアル番号には「意味」を持たせてあります。もしかするとこのシリアル番号から、自分に辿り着かれるかもしれない。そう思って頂けるのなら精神的プロテクトは成功です。
出来るはずがない?えぇ、そう思っていれば良いんです。出荷のコントロールはBOOTHが行っているから大丈夫なはず?そうだよね、そう思っててください。これが精神的なプロテクトです。そして、これは自分で純粋に楽しむために購入してくれた人には、何らプレッシャーにはならないという点も、内藤的には GOOD! と思っています。
まあ、うん、そういう訳で、強度的にどうかは分かりませんが、上記2点の意味があるので、私は私が作る全てのソフトウェアには、何らかのプロテクト(或いは目印)を付け続けます。少なくとも正規で購入して頂いた人の不利益になるプロテクトだけは掛けませんが、カートリッジから吸い出した時点で、それは私の保証管轄外の行為となります。
以上、少し長くなってしまいましたが、よろしくお願いいたします。
※数学本と言えばやっぱりコレ!
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