パッケージ製造ですが、自分にとっても初めての事だらけでとても大変でした。ただ、Newシティヒーローの時に、結構な部分を自分で対応してた事もあり、また、部材調達先に関しても先行者から情報を頂けたりと、わりとすんなり用意できた感はあります。そのため、現時点で説明できる範囲で、パッケージの部材絡みを説明していきたいと思います。

まず、何と言ってもROM基板です。CPLDとFlashROMを購入して、某所で基板設計後、香港で製造組み立てして日本国内に輸入しています。FlashROMは1Mbitが足りなくて、やむなく第2ロット以降は2Mbitを使用しています。某ショップのFlashROMを全て買い占めてしまってるかもしれません^^; チップの入手問題のため、第1ロットと第2第3ロットでは基板設計が微妙に変わってたりします。
ROM基板到着
ということで香港から届いたROM基板です。きっちり関税…正確には消費税ですが、輸入時に取られてるから関税って事にしてます…取られました。いーやー、全く原価計算に入れてなかったです。輸入額の60%に対して10%の消費税という計算なので、安くはなかったです。届いた基板は絶縁されてそうな発泡剤に包まれていました。
繋がってるROM基板
これが届いた基板です。XeGrader専用品なのでロゴの印刷があります。シリアル番号1相当のいくつかのROMカートリッジは、特別に半透明カートリッジを使いましたので、うっすらと基板が見えるようになっています。おっと、カートリッジを止めるネジの部分には、分解禁止シールを貼ってありますので、これを剥がすとサポートを失います。悪しからずご了承ください。

基板は少しでもコスト削減のため、4枚をひとつの基板として製造してます。なので、実際に使用する際は、ペキパキと折って切り離す必要があります。ちょっとした手間だから良いかなと思ったんですが、パッケージ製造ではこのちょっとした手間の積み重ねになるので、削減できることは削減したほうが良いと思います。ただ、これはそのままコスト増に繋がるので注意が必要ですね…。
専用ROMライター
さて、ROM基板にはプログラムを焼くことになります。事前に用意していた専用のロムライターを使ってWindows側からちまちまと一つずつ焼いてます。焼く時間は10秒も掛からないのですが、ROMデータは一つ一つ異なったバイナリになっていますので、重複して焼いたりしないように慎重に手順通り焼いていきます。これが想像以上に手間がかかってます…、えへへ、この辺りはちょいと機密に近い部分なので少しぼかして書いてます^^;
カートリッジシェルに収める
焼いたROM基板をMSX企画のカートリッジシェルに格納します。おそらく現在製造されているカートリッジは、皆さん同じのを使っている気がします。この部材が案外場所を取りました。あと、小さいのですが、タッピングネジが2本必要です。これも結構な数になります。
ネジ止めした
ネジ止めは最初は手回しで頑張っていたのですが、手袋が次々破れてしまうし、押し付けながらドライバーを回すので、掌が真っ赤に腫れてしまったりで散々でした。そのため、トルクコントロール付きの電動ドライバーを急遽購入しています。使ってみて分かったこの便利さ。もっと早くから買っておくんだったと後悔しきりです。
※トルクコントロールが秀逸でピタッと狙った強さで自動的に止まります。これ無しではもう製造は出来ません!
カートリッジにはシールが必要なので、印刷をまとめて依頼しました。印刷の値段って数がまとまると、少なかろうが多かろうが殆ど金額が変わりません。納期も変わりません。なので、絶対に使い切れないだろうっていう枚数を、どかんとまとめて発注しています。
シールたくさん
そんなに大きいものではないし、いざとなったら可燃ごみとして捨てられるので気楽なものです。あと、同時に基本パッケージ用の値札シールも発注。生産数が特別付録冊子付きのほうが圧倒的に多いので、そちらをベースとして生産数が少ない基本パッケージは、その黄色いシールを貼って対応する事にしています。
マニュアル
マニュアルです。XeGraderは基本的にはシューティングゲームなので、ほぼほぼマニュアル要らずではあるのですが、パッケージにこだわったからには最低限のマニュアルも要るよねと原稿書きして安めの紙と製本方式で製造しました。全8ページのモノクロ印刷。めちゃくちゃ安かったけど、これを発注する時はまとめて発注しても殆ど値段が変わらないことを知らず、第1ロット分しか発注せずで、後から知って悔しい思いしました。第2第3ロットのマニュアルはもうすぐ手元に届きます。
特別付録冊子
特別付録冊子です。私が原稿をテキストエディタで書いた時は、64ページ相当だったので、パッケージのマニュアル梱包の厚みを5mmで計算してたんですが、プロの編集を経たらあら不思議 44ページ相当にいきなり減ったので、厚みが 3mmになりました。ページ数がここまで違うと流石に製本金額にも大きく違いが出るので、浮いたお金で表紙の紙質を上げて、さらに表紙の裏に遊び紙まで追加してしまいました。利益にしても良かったんですが、折角なので冊子としてゴージャスにしときました。あと、くりひろしさんの描き起こしイラストも良い感じです❤
パッケージ
パッケージはスリーブ箱という形式で作りました。いろいろ特注です。パッケージの厚みは25mmとしてクリックポストに対応できるサイズとしました。全体のサイズはグラディウス2と並べても遜色ないようにしました。さらに印刷が映えるようにインバーコート片面PET貼(つやあり)加工というテカテカ表面加工を選択しました。紙質もかなり良いのを選択しています。そして、ROMカートリッジを確実に固定するために、設計も特注の緩衝材も製造依頼しています。2つ合わせて全然安くないです^^; ただ、パッケージが欲しい人は、ここはこだわりポイントだと思ったので、とことんこだわり抜きました。
たくさん製造中
ということで、ここからは製造です。気を使うのがカートリッジにシールを貼る作業です。私は無骨な人でこういう繊細な作業が出来ないので、このシール貼りは妻に一任しています。まさに家内制手工業ですな^^;

製品の動作確認は実機 HB-F1XD で行います。何度もスロットの抜き差しや電源のON/OFFを繰り返すと、貴重な MSX2本体を壊しかねなかったので、基板設計の方に動作確認専用のROMセレクターを作っていただきました。それも、私の HB-F1XDの背面スロットの位置に合わせてと、マジで専用品です。
動作チェックの必需品
横にスライドスイッチがあり、前にスイッチをいれると前側のスロットが有効になります。無効になったスロットは、MSX2の電源が入ったままROMカートリッジの交換ができます。これでMSX2本体にはほぼ負担をかけず、次々と効率的に動作確認が出来るようになりました。
和室が部材でいっぱいに
と、いうことで、うちの和室は部材で溢れかえっています。7月には全部作り終えたいなあ…
サンワサプライ 静電気防止手袋(滑り止め付き) TK-SE12L
サンワサプライ(Sanwa Supply)
2017-06-11
※ROMカートリッジのデータを焼く時やパッケージの生産に使用している手袋です。これで静電破壊や指紋の付着を防止しています。