初めてXeGraderを出荷したのが6月入ってすぐ。そこからあれよあれよという間に発売数が伸び続け、7月20日で第3ロットもほぼ完売。まさかの事態になりました。一番数が多かったのが第2ロットです。第1ロットは受注販売方式だったのもあり、最初は販売数が読めなかったのでかなり少なめでした。ところが蓋を開けてみたら、数日でとんでもない数の受注がはいり緊急で受注停止しましたが、その時点で既に個人の生産可能本数を遥かに超えていました。

これはマズイ、早くなんとかしないと…

そこで、パッケージ品質もさることながら、追加で2つの命題を抱えることになります。それが在庫時は如何に場所を取らないようにするかと、如何に効率よく製造ができる体制を整えるかです。

パッケージはいろいろ悩みました。段ボール箱をパッケージにする案や、MDソフトでよくある既存のパッケージを利用する案とか。段ボール案は流石に品質的にもらっても「嬉しくない」と感じたので没。安く済ませるのであれば良い選択ではあったのですが、きっとユーザーが求めてるのはこれじゃない。
段ボールパッケージ
  (C)株式会社アースダンボール 
https://www.bestcarton.com/

MDソフトで使われてるプラパッケージ既製品は、品質的な不安を感じたので没。写真から見ても分かるほどに、整形が個体毎に異なっていました。これでは安心して使えません。また、コスパ的にも満足できる状態ではありませんでした。これを使われてるインディーズの人たちは陰ながら苦労していそうだなあとも。
プラパッケージ
そこで私が選択したのがスリーブ箱です。実は最初からスリーブ箱でと決めていたわけではなくて、最初はファミコン初期によく使われていたキャラメル箱を検討していました。結構検討を重ねてて、これで行くかと思い始めてた時に思ったんです。これはファミコンじゃんと。
キャラメル箱
   (C)印刷の通販グラフィック https://www.graphic.jp/

※既製品であればこんなのを売ってたりします。
自分が保持している当時のMSXのパッケージを改めて見てみました。特にコナミさんの製品はパッケージから素晴らしい。その時、私の中でむくむくと、ああ、グラディウス2のパッケージに並べたいなあと。ところがあのプラケースは今では製造されていないのか、見つけることは出来ませんでした。元より、あのパッケージは場所をとります。
グラディウス2
   (C)KONAMI

どうしたものかと悩んでた時に、ふと目についたのが5年前に発売したNewシティヒーローのパッケージでした。スライドして中身が出てくるぞと。そこで、当時の手持ちのゲームパッケージを探っていたところ、システムソフトのパッケージが簡単豪華で保管時は省スペースであることを発見しました。これだ!と直感的に思ったんです。後にこの形状はスリーブ箱という名称であることを知ります。
システムソフト
   (C)SYSTEMSOFT

これでいくと決めたは良いけど、次の課題が襲いかかります。それは、スリーブ箱だけだと中でパッケージがガチャガチャと動き回る事です。ファミコンのケースを開けると、PET素材でできた透明のインナーケースがあります。このインナーでカセットのガタツキを抑えてパッケージを大きくしていました。パッケージを大きくしてる理由はおそらく取説のサイズです。
FCインナー
   (C)3Aカンパニー

※少し割高ですが、FC系カートリッジなら見た目はばっちりです。
自分が予定してるサイズは大きめなので、PETインナーで適合するのは見つけられませんでした。特注しようかとも思ったんですが、そういやNewシティヒーローはどうしていたっけと再確認したところ、紙でインナーを整形してありました。そうか、この手があったかと。ただ、この方法だとどうしても特注なんですよね。なので、設計を印刷会社に依頼して、出来上がったのが今の緩衝材です。
緩衝材
印刷やデザインにも拘り、いざこれで!と思った時に、やっぱり何かが足りないと思い始めました。そして、当時のパッケージを思い出すと、シュリンクしてあったなあと。あれをベリベリ剥がすのも、ある意味儀式だったよなあ。あと、あのシュリンク、パッケージ同士が擦れて傷がつくのを防止してるんだろうなあと。

そこでシュリンクを検討し始めたんですが、これがどうにもよろしくない。大きめの袋に入れて熱収縮で封印するんですが、失敗が多いわ手間がかかるわ。生産効率が高いとは到底言えなかった。困ったなあと悩んでいた時に、IMPACT SOFTさんからうちはOPPサイドシール袋を使ってると、業者さんまでご紹介いただきました。これは有り難かったです。



OPP袋はある意味私の理想でしたが、ぶかぶかサイズは見た目が良くない。シュリンクのようにぴっちり収まってほしい。悩んだ挙げ句、業者さんに相談したところ、責任は持てないと言われつつも、ぴっちり収めるのならと適切なサイズを教えていただきました。最低製造ロットは想定より全然多かったんですが、それでも安く作って頂けたので、そのままお願いすることにしました。既製品がたくさん種類がありますから、そちらに合わせて箱設計するほうが最善かもですね。
OPP袋
届いたOPP袋はとても素晴らしい出来栄え。ただ、うん、ぴったりすぎて箱を収めようとするとビリビリと何枚も破ってしまいます。が、何枚も破っているうちにコツを掴んできました。パッケージは立派といっても所詮は紙素材です。まずはカバーを丸める感じで袋の中に放り込んで手を離すと、ピタッと収まります。あとは破かないように注意しながらスルスルとずらしていって、いい感じの場所に収めてから中箱を入れます。最後は慣れてきて、この作業も10数秒で出来るようになりました。
袋詰
ということで出来上がったパッケージは、手に取って頂いた皆さまに現在大変絶賛して頂いてる状態です。パッケージの箱一つとっても拘りが必要だなあと、完成したパッケージ1号を見ながら感慨にふけりました。それが5月の事です。本当にちょっと前の事ですね。他人から見るとタイトなスケジュールに見えてたと思いますが、作るものが明確に見えた後は、ほぼ予定通り全てが進行していきました。

これだけの紆余曲折を経て、省スペースにも拘りましたが、数ヶ月、我が家の和室は部材置き場と化して使い物にならなくなりました。現在は100段ボールが4個(中身はスカスカ)と、やっと部屋として使えるようにはなりましたが、最も部材在庫があったときは4畳半ほどのスペースを段ボールが埋め尽くしてました…

自分的にかなりスキルも溜まったなあ。次に生かせる事、続く事がありそうではない点が、ちょっとだけ残念です(苦笑
※OPP袋はこのように本当に安いです。サイズが合えば使わない手はありません。